洗面台の鏡が落ちた朝に考えた、「10年」で終わる仕事と、終わらない責任。
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こんにちは。代表の坂田です。
本日は少し、私のプライベートでの「困りごと」から、仕事の本質について
考えてしまったお話をさせてください。
先月、我が家の洗面台の三面鏡のうち一面が、劣化によって落下してしまいました。
幸い怪我はありませんでしたが、残り二面もいつ落ちるか分からない状態。
慌ててメーカーに問い合わせたところ、返ってきたのは
「10年以上経過しているので部品がなく、修理不能。買い替えを推奨します」という無機質な回答でした。
「10年経てば仕方ない」という割り切りへの違和感
確かに、家電や設備の寿命は10年が目安かもしれません。
でも、一人のユーザーとして、愛着のある道具を「部品がないから」と一蹴されることには、
どうしても拭えない不満が残りました。
実は私たちアトマでは、10年以上前にお手伝いしたクライアント様のデータもすべて保管し、
いつでも修正や増刷に対応できる体制を整えています。
「効率」だけを考えれば、古いデータは整理した方がいいのかもしれません。
しかし、お客様にとってそのパンフレットやロゴは、10年経っても「今、目の前にある大切な資産」です。
「もう部品がないので、新しく作り直しましょう」
そんな風に、自分たちの都合で関係性を断ち切るような仕事は、私はしたくない。
洗面台のメーカーの対応を受け、自戒を込めてそう強く思いました。
妻を怒らせた「安易な提案」と、プロの眼差し
壊れた鏡をテープで補強して凌いでいた洗面台を見かねて(笑)、妻と某有名量販店へ向かいました。
そこで出会ったのが、驚くほど「すごい」サービスマンの方でした。
最初は別の店で「上の鏡だけ他メーカーに変えれば安く済みますよ」と提案されましたが、
これには妻が激怒。「上下でデザインがバラバラなんてありえない!」という彼女の言葉は、
まさにブランディング(一貫性)を大切にするアトマの仕事そのものでした。
その後、訪れた某有名量販店のリフォームコーナーで、妻が気に入った「現品限り」の製品を決めた際のことです。
そこで出会った下見担当のサービスマンの方が、まさに「プロ中のプロ」でした。
妻が気に入ったのは「現品限り・1年保証」の品。
しかし、彼は自宅の状況を綿密に調査した後、さらりとこう言いました。
「現品の価格そのままで、新品を手配します。保証も現品の1年ではなく、規定の10年をお付けします」
利益を考えれば現品を売るのが早いはずです。
しかし、彼は「お客様がこれから10年、安心して使うこと」を最優先に考えてくれたのです。
「そこまで見てくれるのか」という驚き
彼の凄さはそれだけではありませんでした。
床材の張り替えを相談すると、有名メーカーのサンプルをどっさり持参。
妻が「これだ!」と喜ぶ理想の素材をすぐに見つけ出してくれました。
さらに驚いたのは、洗面所にある洗濯機に目を向けた時です。
「床を新しくするなら、洗濯機を『かさ上げ』しませんか?掃除もしやすいし、新しい床を傷めませんよ。別で安いのを探して買っておけば、当日こちらが設置しますから」
自社の売り上げにならないことまで、私たちの生活のために提案してくれる。
「安く済ませよう」という安易な妥協案ではなく、
「どうすればこの家がもっと快適になるか」という、お客様の立場に立ちきった提案。
これこそが、私が目指している「誠実な仕事」の正体だと、目の前が明るくなる思いでした。
10年後、お客様にどう思われたいか
当日の施工も、契約説明も、すべてが淀みなく誠実。
(剥がした床材を少し積み忘れて帰られたのは、人間味があってご愛嬌でしたが! 笑)
おかげさまで今、我が家の洗面所は見違えるほど快適になり、毎朝、鏡を見るのが楽しみになりました。
メーカーの「10年経ったから部品がない」という割り切りと、このサービスマンの「10年後まで考えた提案」。
この対極にある二つの「10年」を経験して、私は改めて思いました。
アトマも、10年前のデータを大切に保管し続けています。
それは単なる記録ではなく、「あの時、アトマに頼んでよかった」という信頼を10年先まで繋ぎたいという、
私たちの意地でもあります。
効率や利益も大切ですが、最後は「人」。
私もあのサービスマンのように、クライアント様の期待を「誠実さ」で超えていける存在でありたい。
新しい洗面所の鏡に映る自分を見ながら、そんな決意を新たにした春の朝でした。